三陸毛ガニの
新しい魅力を提供する
毛ガニの町の飲食店
三陸毛ガニの水揚げが解禁されるとともに、市内の飲食店では期間限定メニューの提供が始まる。
さすがは毛ガニの町とあって、海鮮丼などの産地ならではの鉄板メニューはもちろんのこと、本格イタリアンやフレンチによる創作料理まで、バラエティに富んだ料理の数々が勢揃いしている。その充実ぶりには思わず目移りしてしまうこと間違いなしだろう。
お腹次第ではあるが、手はじめに茹で毛ガニや蒸し毛ガニといった素材そのものの味を楽しむメニューを攻めつつ、イタリアンやフレンチ系で締めくくるなんてプランはいかがだろうか。きっと、三陸毛ガニの町、宮古の実力に唸ることになるだろう。
また、三陸毛ガニだけではなく、イクラやホタテ、タコなどの三陸の冬を彩る海鮮を同時に味わえるのも三陸の港町、宮古を旅する大きな魅力だ。
割烹 おかめ
末広町商店街の老舗割烹料理店の限定「毛がにづくし定食」は、地元宮古の人が太鼓判を押すメニューだ。お膳の上には、定番のカニ飯はもちろん、カニグラタン、カニクリームコロッケなどの洋食系、さらには大きな脚がのぞく毛ガニ汁など、これでもかと言わんばかりの迫力で毛ガニ料理がずらりと並ぶ。毛ガニシーズンを迎えると、この「毛がにづくし定食」を求め、はるばる遠方からグルメ客が駆けつけると聞いて納得。三陸毛ガニを心ゆくまで堪能したいなら間違いなし。産地ならではのプレミアム感を味わえる。
魚菜亭 すみよし
宮古駅前に店を構え、海鮮料理を中心に昼は定食屋、夜は居酒屋として賑わいを見せる魚菜亭すみよし。宮古のご当地グルメである「瓶ドン」で毛ガニを食べるなら、ここは外せない一軒だ。「瓶ドン」は、三陸の海の幸を牛乳瓶に詰めた体験型の海鮮丼。毛ガニの時期には、溢れんばかりの毛ガニのほぐし身と最高級品質のイクラ、新物のワカメを詰め込んだ限定メニュー「あかい彗星」が供される。色とりどりの具材を自分で丼に盛り付ける体験としてのエンタメ性もあり、この時期の旬を一度に楽しめるメニューだ。
蛇の目 本店
明治創業という古い歴史を持ち、地元のお客さんから観光客まで長年愛されている老舗の寿司店。豪華な盛り付けが売りの海鮮丼が人気メニューの一つだが、毛ガニの時期に入ると、イクラやウニ、ホタルイカからエビといったエース級の具材の上に、三陸産の毛ガニがどかんと盛り付けられる。ぷりぷりとした食感を楽しめるカニ爪の身から上品な甘みを伝える胴体の身まで、部位によって異なる毛ガニの美味しさを食べ比べることができるのも、この丼の贅沢なところだ。三陸の冬を彩る海の幸を食べ尽くしたいなら、この海鮮丼は外せない。
浄土ヶ浜レストハウス
三陸を代表する景勝地、浄土ヶ浜を望むお食事処として多くの観光客が訪れるレストハウス。ここではラーメンで毛ガニの新境地を開いた「毛ガニ出汁ラーメン」を楽しめる。スープには毛ガニを殻ごと煮出した出汁を使い、濃厚でクリーミーなカニ味噌が贅沢な隠し味として溶け込む。風味全体の印象としてはあっさりとした味付けだが、毛ガニの旨みが後を引く。やはり毛ガニが丸ごと凝縮した一杯であることは間違いない。目の前に広がる浄土ヶ浜の美しい眺望とともに毛ガニを味わえる贅沢があるのはここだけだ。
丼の店おいかわ
魚市場に揚がったばかりの新鮮な魚がずらりと並ぶ宮古市魚菜市場。「宮古市民の台所」として地元から愛されるこの場所で暖簾を掲げるのは「海鮮丼」で直球勝負する「おいかわ」だ。三陸毛ガニは、冬季の具材のエースとして丼の真ん中を飾ることになるが、ここはあくまで海鮮丼を謳う店。丼の表面は瑞々しい毛ガニのほぐし身に加え、イクラやサーモンにホタテにタコなど、宮古の旬の味覚を伝える海鮮素材で埋め尽くされる。毛ガニを一番に食べたい!でも、ほかの海鮮にも目がないという食いしん坊も大満足できる店だ。
la Tache
中央通り商店街ににある隠れた名店la Tache(ラターシュ)では、毛ガニを本格的なフレンチに昇華させた「毛ガニのリゾット」を堪能できる。毛ガニの殻で香り付けし、鯛などの魚介出汁でやわらかく炊いた米飯に、毛ガニのほぐし身の甘みとパルミジャーノレッジャーノのコク深い味わいが加わったこのリゾットは究極の一品。別添えのカニ味噌とともに野菜も楽しみながら、フレンチだからこその素材の活かし方、繊細な味わいに浸ることができる。思わずワインが欲しくなる、そんな毛ガニ料理を楽しめるのも、三陸毛ガニの産地宮古の奥深さだ。
和La伊
中心市街地から車で30分ほど北上した田老地区にあるイタリアンレストラン和La伊(わらい)で味わえるのは、毛ガニを丸ごと贅沢に使った「宮古産毛ガニのトマトクリームソースパスタ」。殻ごとフランベし、旨みを凝縮させた毛ガニをニンニクがほどよく香る濃厚なトマトクリームソースに絡ませるというレシピは、海の街でイタリアンレストランを営むシェフのとっておきだ。具材となる毛ガニは地元漁師から活の状態で直接仕入れているというだけあって鮮度は申し分なく、ぎっしりと詰まった身をほじって食べるひとときはまさに至福の時間だ。