宮古産の活毛ガニ。
最高の美味しさを
味わうために

三陸毛ガニの一大産地
宮古流の食べ方をご紹介

地元の食べ方にならい
活毛ガニの調理に挑む

新鮮な活毛ガニを首尾よく購入したら当然、美味しく食べたい。ただ、相手はトゲトゲの硬い殻をまとい、しかも元気に生きている三陸毛ガニだ。「活毛ガニ」初心者がこの姿を前にすると、どのように調理すればよいか悩んで当然だろう。臆するあまり、新鮮な活毛ガニを前に指をくわえて購入を見送るなんて由々しき事態に直面するかもしれない。
そこで参考にしたいのが産地宮古の人たちが定番としている食べ方だ。
地元のことは地元の人にならうのが一番。三陸毛ガニをこよなく愛する宮古の人たちの調理方法を身に付け、活毛ガニを美味しくいただきましょう!

シンプルであるが
奥が深い「茹で毛ガニ」

毛ガニの食べ方の大定番として王道を突き進むのが「茹で毛ガニ」だ。宮古の人で茹で毛ガニを食べた人は存在しないと言っても過言ではないほどポピュラーな調理法。毛ガニの美味しさをど直球で楽しむなら一番のおすすめだ。
なお調理は読んで字の如しで、毛ガニを茹でるという実に明瞭なものだ。とはいえ、シンプルな調理が難しいというのはこの場でも当てはまる。湯の量、塩加減、茹で時間などは作り手によって微妙に異なり、なかなかどうして奥深い。
とくに塩加減は毛ガニの甘みに関わる部分なので細心の注意が必要。また、カニ味噌が漏れないように甲羅を下にして鍋底に置くなどのポイントも忘れてはならない。さらに茹で時間については、毛ガニの大きさである程度の目安はあるが、絶対の基準はないという難しさがある。もちろん茹ですぎは旨みが逃げるので厳禁。注意されたし。

 

蒸し器の登場。
旨みを閉じ込める
「蒸し毛ガニ」

宮古での三陸毛ガニの食べ方については、「茹で毛ガニ」が最大勢力を誇るとされているが、この勢力図に待ったをかけるのが「蒸し毛ガニ」だ。調理法はここでも読んで字の如し、蒸し器を使って蒸し上げるシンプルなものだが、茹で毛ガニ同様、美味しく蒸すには微妙な匙加減が必要となる。上手に蒸し上がった毛ガニの身は、ふっくらとしながらも歯応えがあり、噛むほどに独特の旨みと甘みが広がっていく。毛ガニを食べるなら蒸しがベストと語る宮古人が多いのも納得の味わいである。

宮古をふたつに分ける
三陸毛ガニは茹でるべきか
蒸すべきか問題

まず、茹で派の主張を先行すると、茹でることで身は柔らかでジューシーに。次に塩を効かせた茹で汁で味付けするので塩味のバランスが取りやすいのがメリットだという。
蒸しの場合、毛ガニの「ふんどし」部分に盛り塩をして塩味を加えるのだが、確かにこれではカニ全体への味付けは難しいと想像できる。結果、「蒸し毛ガニの身は味が薄い」という意見にはっきりと異議を唱えることができない。とはいえ、蒸し派もただ黙っているわけではない。茹で汁に毛ガニの旨みが流出するという事態を避けられない茹でに比べ、蒸しは味を閉じ込めるため、その身はより濃厚な味わいになるという。とくにじっくり蒸すことでカニ味噌はこっくりと濃厚で強い味わいになると力説する。この旨みの深さという点については、茹で派はただただ口を閉ざすのみである。
といった具合で、この論争は平行線で、決着はいつも先送りとなっている。結局のところ好みの味はひとそれぞれと言ってしまうと身も蓋もないが、調理法ひとつで盛り上がることができるのはまさに産地ならでは。風土の食をこよなく愛するという姿勢の現れだろう。
さて、あなたは宮古で購入した活毛ガニを茹でるのか蒸すのか、今宵はその命題に挑まなければならない。

・毛ガニを茹でる・


【用意するもの】
・深めの鍋 ・水 ・塩


1. 毛ガニを洗う

流水で甲羅や脚の汚れを丁寧に洗い流します。特に甲羅と脚の付け根、ハサミの周りなどをタワシなどで軽くこすると良いでしょう。


2. 塩水を準備する

大きな鍋に毛ガニが完全に浸るくらいの水を入れます。
塩分濃度は海水と同じくらい(約3%)が目安です。(水1リットルに対して塩30g程度)カニの風味を最大限に引き出すポイントです。
昆布を一切れ加えると、より旨味がアップします。


3. 毛ガニを茹でる

鍋の水を強火で沸騰させます。
沸騰したら、甲羅側を下にして鍋に入れます。(カニ味噌が流れ出るのを防ぎ、全体に均一に熱を通すため)
再沸騰してから、15分〜20分程度茹でます。
・小型(300g前後):10〜15分
・中型(500g前後):15〜18分
・大型(800g以上):18〜25分
時間が短すぎると生煮えに、長すぎると身がパサついたり旨味が抜けてしまいます。茹で汁の量や火加減によっても変わるので、最初は短めに設定し、様子を見ながら調整してください。


4.冷ます

茹で上がったら、すぐにザルなどに上げて粗熱を取ります。急激に冷やすと身が縮むため、常温で自然に冷ますのがベストです。
すぐに食べない場合は、粗熱が取れたらラップをして冷蔵庫へ。

・毛ガニを蒸す・

【用意するもの】
・蒸し器 ・水 ・塩


1. 毛ガニを洗う

流水で甲羅や脚の汚れを丁寧に洗い流します。


2. 蒸し器に水を張る

蒸し台の底から2〜3cm程度まで水を張ります。毛ガニの足が直接水に浸からないようにします。


3. 毛ガニを蒸す

強火で沸騰させ、蒸し器からたっぷりの蒸気が出ている状態にします。
甲羅側を下にして蒸し器に入れ(カニ味噌が流れ出るのを防ぎ、全体に均一に熱を通すため)、20分〜30分程度蒸します。
・小型(300g前後):15〜20分
・中型(500g前後):20〜25分
・大型(800g以上):25〜35分
茹でるよりもやや長めに蒸すのがポイントです。


4. 冷ます

蒸し上がったら、すぐに蒸し器から取り出し、ザルなどに上げて粗熱を取ります。
すぐに食べない場合は、粗熱が取れたらラップをして冷蔵庫へ。

・毛ガニをむく・

【用意するもの】
・キッチンバサミ(もしくは包丁)
・軍手/新聞紙や皿

1. 足を切り離す

まず、毛ガニをひっくり返し腹の部分を上にします。毛ガニの殻が柔らかい関節の部分にハサミを入れ、切り離します。

2. ふんどしを外す

三角形になっているところが毛ガニのふんどし(前かけ)です。そこに親指を入れ、取り外します。

3. 甲羅を外す

ふんどし(前かけ)を外した箇所に出来た穴、毛ガニの甲羅の付け根に親指をかけて甲羅を外します。この際は毛ガニのかにみそが流れ出ないように甲羅を下にして作業しましょう。

4. えらを取り外す

ねずみ色のひだは魚のえらに相当するものなので食べられません。付いたままでも大丈夫ですが作業の邪魔になる場合は取り除いて下さい。(万が一、食しても毒にはなりません)

5. かにみそを甲羅に移す

胴の部分に残っている毛ガニのかにみそを甲羅に移動させます。毛ガニの甲羅の内側には白っぽい薄皮も付着していますが、これも食べることが出来ます。

6. 足を切り分ける

まずは殻を剥きやすいようにするため、毛ガニの足の関節から2つに切り分けます。固い部分に当たってしまった場合は無理に切ろうとはせずに柔らかい関節の部分を探して切り分けるようにして下さい。

7. 足にハサミを入れる

毛ガニの足の下の部分(毛が少なく柔らかい平らな部分)から少しずつハサミを入れていきます。逆側も同じように切ります。毛ガニの足の細い部分も同様に切り開きます。

足先の方も同様にハサミを入れます。
カニ爪は硬いので慎重にサイドを切ります。

8. 足から身を取り出す

上手くハサミが入っていたら下の写真のように剥がれます。上手く開けない場合は無理に開かずに、再度ハサミを入れましょう。毛ガニの殻が剥がれたら、中から毛ガニの身を取り出します。

9. 胴を2つに分ける

まず写真のように毛ガニの胴を真ん中から2つにします。包丁で切ることもできますが、慣れていないとぐらぐら動いて危ないので、ハサミで少しずつ切ることをおすすめします。

10. 胴から身を取り出す

足の付け根は筒状になっており、この部分にも身がたっぷり詰まっています。筒の外側から腹に向かってハサミを差し込み、背中側と腹側に分けるように切り開いて、身を取り出します。

11. 盛り付けをする

かにみそを移しておいた甲羅の底に、胴体から取り出した身を敷き詰めます。その上に、足の身を並べて完成です。盛り付けをせずに剥きながらホカホカのまま食べ進めるのもまた美味しいです。

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