宮古で三陸毛ガニを
買うなら「活毛ガニ」。
地元鮮魚店をめぐり
最高の毛ガニを探す

三陸毛ガニは活きてこそ

今日も朝から威勢のいい掛け声が響く宮古市の魚菜市場。三陸毛ガ二の水揚げがはじまると、宮古市民の台所と称されるこの市場では毎年恒例の光景が見られる。鮮魚店の店先にずらりと水槽が並ぶのだ。
水の中をのぞけば、そこにいるのは赤い甲羅の三陸毛ガニ。ごろんとして重量感のある見た目にもかかわらず、水の中での動きは案外軽やか。太い脚を盛んに動かして底を自由に歩き回る姿はどこか微笑ましい。これが、冬の宮古の名物 “活毛ガニ”である。
宮古の人にとって、「毛ガニ」とはすなわち「活毛ガニ」であり、とにかく「活」を好む。ここにこだわる理由は一も二もなく鮮度。基本的に魚介を美味しさは鮮度の良さに比例するのだが、毛ガニの場合、鮮度はさらに重要なポイント。蟹味噌の香り高さも、脚の身のジューシーさも鮮度次第と宮古人は力説する。結果、この港町では水揚げ直後で生きている状態の毛ガニこそが最高であり、一番の買い時というのが常識となっている。宮古人にとって、毛ガニは生きてこそ、なのである。

毛ガニへのこだわりが
止まらない町

宮古の人たちはとにかく毛ガニの目利きにうるさい。魚屋さんが何と言おうと、自らの手で毛ガニに触れ、活きの良さはもちろんのこと、重さや艶、脚の太さなどを細かくチェックする。自らで見定められない毛ガニは買わないというのが宮古人のスタンスなのだ。
こうした客と相見える鮮魚店ももちろん負けてはいない。毛ガニが水揚げされる魚市場に毎日通い、目利きの鍛錬を欠かさないのは当たり前。港から汲み上げた新鮮な海水で毛ガニ用の水槽を満たし、しかもそれを毎朝交換するなど、毛ガニの活きの良さを維持するための苦労を厭わない。宮古の鮮魚店が謳う「うちの毛ガニは活きがいいよ」は、こうした日々のこだわりから生まれているのである。

宮古の旅の
クライマックスは
活毛ガニ

さて、そんな宮古で毛ガニを買うという楽しみについてだが、やはり手にしたいのは活毛ガニ。宮古人よろしく魚屋さんと会話のやりとりをしながら自分にあった一杯を見つけるのがいいだろう。強面でも気の良い宮古の魚屋さんに、毛ガニ素人だと素直に告げれば上手に選ぶコツを教えてもらえるはずだ。
また、活毛ガニにハードルの高さを感じる場合は、調理の手間を省ける茹で(蒸し)毛ガニもおすすめだ。ここまで推してきた活毛ガニではないものの、宮古で売られている茹で(蒸し)毛ガニは水揚げされたばかりの活毛ガニを使ったいわゆる「浜茹で」。新鮮さも味も折り紙つきだ。
宮古で毛ガニを「買う」という行為は、宮古の人たちの毛ガニへの並々ならぬ思い、つまり毛ガニという食文化を感じる時間だ。そして、職人の目利きを信じ、自ら選んだ活毛ガニを無心になって味わうひとときは、宮古の三陸毛ガニ旅のもうひとつのクライマックスである。

毛ガニを購入できるお店 〉

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